STORY ストーリー
対談日:2024年9月13日
技術革新の中心で、これまでの延長線ではない、
未来へつなぐ挑戦を
auブランドで知られる通信会社KDDIと、大手SIerであるCTCの合弁企業として、2019年に産声をあげたKDDI xG Networks。
「すべてのヒトやあらゆるモノをつなぐモバイルネットワーク」を創造すべく、5G SAと呼ばれる次世代通信の開発・運用を手掛けている。
5年目を迎えたKDDI xG Networksの現在地とは?
また見据えるビジョン「つなぐチカラの進化をリードする」に込めた意味、そして、取り組んでいる挑戦とは?
代表取締役社長の菊地 隆志と取締役副社長の古幡 泰幸に聞いた。
【左】代表取締役社長 菊地 隆志
国際電信電話株式会社(現KDDI)に入社。主に通信システムの開発に従事し、2020年 モバイル技術本部 副本部長を務め、2021年 KDDI xG Networks株式会社 取締役 CTOに就任。その後、2023年4月よりKDDI xG Networks株式会社 代表取締役社長に就任。
【右】取締役副社長 古幡 泰幸
伊藤忠テクノサイエンス株式会社(現伊藤忠テクノソリューションズ)に入社。情報通信部門にて大手通信キャリアを担当。1996年よりKDDIのインフラ設備担当としてDION、EZwebの設備をはじめ、統合IP網などの基幹インフラ設備を担当。2010年より公益事業部門(郵便、高速道路、鉄道など)で営業責任者を務めたのち、2019年よりKDDIアカウント責任者として戦略立案・実行を指揮。2024年4月よりKDDI xG Networks株式会社の取締役副社長に就任し、現在に至る。
5G SAを、どこよりも早く実装するために
新たな枠組みで価値創造に挑戦するための新会社
――KDDI xG Networks(以下xGN)誕生の経緯を教えてください。
菊地:ご存知のように、モバイル通信サービスの主流は第5世代移動通信システム(5G)にまで進化しました。
しかし、旧来の5G NSA(Non Stand Alone)という方式では、4G LTEのためのシステムと5Gを組み合わせて実現しているため、5Gが持つポテンシャルのすべてを発揮できていませんでした。一つのエリアで大量の端末と接続できる「多接続」や、遅延せずにデータを送れる「低遅延」など、ネットワークスライシングを可能とする「5G SA(Stand Alone)」を実現するためには、クラウドネイティブを前提とした新しいアーキテクチャで標準化された、新しいシステムを導入することが必要不可欠でした。それらを最短で実現するための新たな枠組みとして誕生したのがxGNです。
それぞれの会社規模や慣習に縛られることなく、スピード感を持ち、これまでの延長線ではない新しい取り組みで、できるだけ早く世の中に5G SAを実装するためのKDDIとCTCの挑戦でもあります。
私たちxGNメンバーも「卓抜した技術力と卓越したプロセスを基礎として、先進のモバイルネットワークをタイムリーかつ安定的に提供することにより、新たなサービス価値を創造する」をミッションに掲げ、日々挑戦を行っています。
開発と運用の視点を持つxGNだからこそできる、プロセス変革
――2019年に創立後、2023年には5G SAをサービスインしました。ここまでの手応えはいかがでしょうか?
菊地:既にいくつかの自動化を実現し、卓越したプロセスへと磨くための取り組みを行っています。サービスを提供するうえで機器の故障は付き物ですが、旧来のシステムでは復旧にあたって、長年の経験を持つプロフェッショナルの勘所を頼りに故障原因を突き止め、作業を行っていました。しかし、xGNはそれらのプロセスを全自動で行っています。
システム全体を自動で監視し、不具合がある場合も自動で取り除きます。人間は“正しく取り除かれていること”を、最後に確認するだけで良くなりました。これは大きな前進だと思います。
古幡:これは運用の効率化を前提としてシステムを構築しているxGNだからこそできることです。多くの会社では、“サービスを作ること”を目的とする開発部門と、“サービスを止めないこと”を重視する運用部門は、別組織でそれぞれに業務が行われます。
しかしxGNでは、開発部門と運用部門が非常に近い距離にあるため、開発段階から“安定的にサービスを維持させていくこと”を前提とし、スピードと品質を両立した開発と運用を行うことが可能です。
技術のプロ集団として、価値創造に挑戦するxGNの人財
――この5年間でKDDIとCTCから多くの社員が集いました。みなさんの成長をどのようにご覧になっていますか?
菊地:社員数は200名を超えましたが、まだまだ若い組織で規模も決して大きくはありません。みなさん、いつかは元の会社に戻ることになりますが、xGNでしかできない経験を通して、ぜひ技術を磨いていただきたい。一方で、新たな価値創造に挑戦するからにはやりがいと楽しさだけではなく、苦労が伴うこともあるでしょう。少しでも楽しく成長して働きがいを感じてもらえるよう、会社としてもさまざまなサポートをしていきたいと考えています。その一環として、全社員に勤務時間の5パーセントを「挑戦の時間」として使ってもらっています。みなさん、新技術の学習に使ったり、家族との時間に充てたり……それぞれの働きがいに合わせて活用してくれているようです。
古幡:私は2024年にジョインしたのでxGN歴はまだ半年ほどですが、プロフェッショナル養成塾のような非常に面白い組織だと感じています。もともとKDDIとCTCはビジネスにおいて買い手と売り手の関係性だった二社です。信頼関係はありましたが、他社である以上はどうしても腹の底までは見せられない部分もあったはず。しかし、一つの会社に集まったことで、xGNメンバーはKDDIとCTCの両方の視点を持ち、その広い視野の中で、深さも追及しながら、サービスの“在るべき”を考えることができます。
技術のプロ集団として研鑽、挑戦し、技術やサービスを高めていくことができるベストな環境なので、みなさんの成長スピードが非常に速いと感じています。
ビジョン2030に込められた思い
絶え間ない変革への挑戦により新しい価値を創造し、
“つなぐチカラ”の進化をリードする
――2020年に策定されたxGNの「ビジョン2030」について教えてください。
菊地:2020年に有志の社員が集まり、“我々が将来ありたい姿とは?”について皆で考え、議論し、言葉を紡ぎました。
それがビジョン2030で掲げる「絶え間ない変革への挑戦により新しい価値を創造し、“つなぐチカラ”の進化をリードする」です。初心を忘れず常に挑戦し続けること、価値を生み出すこと、新しいものを作り続けることを表明しました。
また、2030年に向けたKDDIグループのありたい姿を掲げた「KDDI VISION 2030」である「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」において、 “『つなぐチカラ』の進化”をリードしていくのは我々xGNでありたい。子会社ながら生意気ですが、そんな思いも込めています。
古幡:私たちがこれまでやって来た5G SAの構築を磨き続けながら、xGNとして培った技術力を生かして、時代を先回りして2030年に活用される新たな技術をリードする。挑戦し続けるプロ集団であるxGNとして欠けてはならない要素がすべて盛り込まれているビジョンです。このビジョン2030の下、一人一人が自分なりにどのように成長し、xGNとしてどのような価値を提供するのか、これから解像度を上げてアウトプットしていこうとしているところです。
プロセスと人財を磨き、迅速化と品質の両立により、存在価値を高める
――具体的には、どのような取り組みを?
菊地:2023年からの中期経営計画においては「プロセスと人財を磨き、迅速化と品質の両立により、存在価値を高める」ことを掲げ、前述したような自動化や変化への対応力を強化するための内製化、マルチスキル人財を育成し、持続的成長を支えるための組織力向上、経営基盤の強化などに取り組んでいます。
古幡:中でもマトリクス型でのプロジェクト遂行は非常にxGNらしい取り組みの一つだと思います。ヒエラルキー型の組織では、技術者は割り当てられたパートのみを担当します。管理者目線では非常にラクな進め方ですが、技術者にとっては自分が経験できる領域が限られてしまう面もあります。
しかし、マトリクス型でプロジェクトを組成すると、技術者は複数の技術領域を跨いだ経験ができます。迅速でありながら、成果にこだわり、マルチスキル人財も育成できる枠組みです。
2030年、そしてその先へとつながるxGNの挑戦
xGNの名の通り、技術革新のど真ん中で挑戦し続ける
――2030年、そしてその先の未来を見据えて、どんなことを考えていますか?
古幡:社名の「xGN」は、5G、6G、7G……とカウントアップしていく変数に由来しています。
今の主流は5Gですが、2030年にはどの通信がどのように使われているのか?それは未知の世界ではありますが、間違いなく今以上にITや通信なくしては生活そのものが成り立たない社会になっているはずです。
高度化していく技術革新のど真ん中にxGNがいて、技術とサービスを磨き続け、お客様やエンドユーザーに価値を発揮できるような会社であり続けたいと考えています。
菊地:現在、既に通信は行き渡っているように見えますが、通信を介してできないことはたくさんあります。
例えば、遠隔地からロボットを操作しての手術や自動運転などは、まだまだドラマや映画の中だけの技術です。それを実現するには確実に途切れず、品質が保証される通信が必要不可欠ですが、その技術レベルのサービス提供にはまだ到達していません。それらが実現するにはまだ時間を要しますが、一つ一つのハードルに今までと違うやり方で挑戦し続け、新しい価値を創造し続けることで可能性はどんどん広がっていきます。
私たちxGNが、つなぐチカラも、その先にある日本や世界の明るい未来もリードしていけるよう、未来へつなぐ挑戦を続けていきます。