STORY ストーリー

対談日:2023年9月29日

「つなぐチカラの進化をリードする」に込めた、本当の思い。

auブランドで知られる通信会社KDDIと、大手SIerであるCTCの合弁企業として、2019年に産声をあげたKDDI xG Networks。
「すべてのヒトやあらゆるモノをつなぐモバイルネットワーク」を創造すべく、5G SAと呼ばれる次世代通信の開発・運用を手掛けている。

5年目を迎えたKDDI xG Networksの現在地とは?
また見据えるビジョン「つなぐチカラの進化をリードする」に込めた意味とは?
代表取締役社長の菊地 隆志と取締役副社長の坂井 真之に聞いた。

【左】代表取締役社長 菊地 隆志
国際電信電話株式会社(現KDDI)に入社。主に通信システムの開発に従事し、2020年 モバイル技術本部 副本部長を務め、2021年 KDDI xG Networks株式会社 取締役 CTOに就任。その後、2023年4月よりKDDI xG Networks株式会社 代表取締役社長に就任し、現在に至る。

【右】前取締役副社長 坂井 真之
伊藤忠テクノサイエンス株式会社(現伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)に入社。SIer(パートナー)と協業してサーバインフラシステムの営業を担当して、2004年よりKDDIをアカウントする部署に異動、2013年より営業責任者として、顧客管理システム、光回線線路設計システム、サービス用プラットフォーム、RCS(+メッセージ)等を担当、2018年よりモバイル用通信設備を担当して、KDDIxGNetworks株式会社の設立にかかわり、2019年12月より同社の取締役副社長に就任し、2024年3月退任。

5G SAを、どこよりも早く実装するために。

――KDDI xG Networks(以下xGN)誕生の経緯をあらためてうかがえますか?

菊地:これまでの延長線ではない新しい取り組みで、できるだけ早く世の中に「5G SA(Stand Alone)」を実装したかった。ひとことで言うなら、それに尽きます。

ご存知のように、2020年からモバイル通信サービスの主流は、第5世代移動通信システム(5G)にまで進化しました。

これまでは5G NSA(Non Stand Alone)という方式。スタンドアローンでは無い、の言葉が示すように、簡単にいうと4G LTEのためのシステムと5Gを組み合わせて実現しています。

坂井:そのため実は5Gが持つポテンシャルのすべてを発揮できない状態でした。

高速大量通信は実現できておりましたが、一つのエリアで大量の端末と接続できる「多接続」や、遅延せずにデータを送れる「低遅延」は、実現できないでいたのです。また、ネットワークスライシングも5G SAでなければ提供できません。

――本格的な5Gサービスを実現するインフラづくりのため、xGNが生まれたわけですね。

菊地:そのとおりです。この5G SAサービスの実現は既存システムではなく、クラウドネイティブを前提とした新しいアーキテクチャで標準化された新しいシステムを導入する必要があった。
加えて、開発の迅速化、仮想化技術やNW技術の内部留保、運用の高度化等にも取り組んでいく必要があり、これに立ち向かう新たな枠組みが必要でした。

坂井:KDDIとCTCが協業すれば課題が解決すると考えました。また、よりアジリティに溢れた組織にするため、単にCTCがKDDIの中に入るのではなく、それぞれの合弁会社として全く新しい組織をつくることになりました。
母体の大きさや慣習に縛られず、スピード感があり、高いクオリティの仕事ができる組織として、xGNを独立して誕生させたのです。

――そして誕生から4年経った今年、いよいよ5G SAがサービスインしました。

坂井:ようやく……でしたけどね(笑)。
xGNならではのチャレンジが功を奏したなと思うのは、開発担当と運用担当が緊密に連携してシステム開発をすすめるDevOpsが実現できたことです。通信キャリアでは、あまり実践していないスタイル。結果として、迅速で柔軟なものづくりが進められましたよね。

菊地:そうですね。
KDDIとCTC、両社がただつながるのではなく、既存のやり方を捨てた、まったく新しい組織を形作りたかった。その成果がようやくひとつお見せできたかなと思います。

ここにいる時間を、かけがえのない経験に

――今年は「ビジョン2030」を表明されましたね。狙いは?

菊地:今までのやり方を壊して、新しい組織をつくる。公言してきましたが、「では、どんな組織にするのか」を示す旗印というか、目指すべき北極星のようなものを掲げたかったのです。社員の大勢を巻き込んで、皆でつくりあげたビジョンでもあります。

坂井:具体的には『絶え間ない変革への挑戦により、新しい価値を創造し、“つなぐチカラ”の進化をリードする』としました。

――どのような思いが込められているのでしょうか?

菊地:「絶え間ない変革への挑戦」には、初心を忘れないでいたいという思いが含まれています。
「我々は常に挑戦し続ける集団だよね」とまず念頭に置きたかった。
新しいものを作り続けるには、挑戦のマインドを現在進行系で、止めないことを表明しました。

――「新しい価値を創造し」の部分は?

菊地:ただ挑戦だけでなく、目的は価値を生み出すこと。また直接的な取引先になるKDDIはもちろん、エンドユーザーの方々に対しても新しい価値を創り出し続けていきたい。

坂井:5G SAが浸透すれば、さまざまなサービスが立ち上がり、社会に馴染んでいくはずです。そのときに不可欠なインフラとして、寄り添っていきたい気も込めました。

――そして「“つなぐチカラ”の進化をリードする」で終わります。

坂井:実はココはKDDIのビジョン2030にかかっています。 『「つなぐチカラ」を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。』がKDDIのそれです。 「つなぐチカラの進化」を、子会社ながらリードしていく存在でありたい。生意気ですが、そんな思いが入っています。

菊地:実際に具現化していくのは、本当に我々、xGNの役割ですからね。しつこいようですが、社員みなで作り上げた文言。掲げるビジョンにも多少、挑戦心が入り込みましたね(笑)。

――ビジョンも明確になり、4年の月日も流れ、社員の方々からxGNの「色」や「らしさ」は見えてきますか?

坂井:立ち上げ当初より明らかに、見えてきました。互いの母体よりも規模が小さい中で、本当に優秀な人たちが集まってくれている。そのうえで、スピーディに挑戦しながら、新しい組織による、新しいやり方で、新しいインフラを創り上げようと日々、手を動かしていますからね。

菊地:会社が若々しく、まだ大きくないだけに、ワイワイと楽しげな雰囲気がにじみ出ている気もします。KDDIでもCTCでも体験できない、xGNだけのやりがいと苦労と楽しさがあると思います。

坂井:二社の母体企業と比べて、社員の距離が近いのもそれぞれのプロパー社員にはとてもいい経験になっているのではないでしょうか。横を向けば、インフラ開発に長けたエンジニアや通信の深い知識を持つエンジニアが、先端技術に明るいアプリエンジニアが入り乱れていますからね。

菊地:様々なスキルを持つ人が集う濃縮された雰囲気に、最初は戸惑う人もいるかもしれませんが、必ず人生とキャリアにとって貴重な時間と場所になると確信しています。

――今後はローンチされたサービスを運用しながらブラッシュアップしていくフェーズに。むしろこれから勝負となりますね。

坂井:楽しみですね。組織もシステムもこれからどんどんバージョンアップさせていきますから。 ちなみに社名の「xGN」は、5G、6Gのようにカウントアップしていく変数をあらわしてつけたものなんですよ。 僕らはテンポラリーな組織ではなく、それこそずっと進化を続けていくのだと。

菊地:そしてつなぐチカラも、その先にある日本や世界の明るい未来もリードしていきたいですね。